マンゴー栽培の流れと注意点|ストレスをかけずに元気に育てる方法も!
しっとりとした食感と濃厚な甘さが魅力のマンゴー。
ほかにはない上質な味わいで、子どもから大人にまで人気の高い果物です。
栽培には多くの工程があり、農家のかたがたが手間ひまかけて大切に育てています。
今回はマンゴー栽培のおおまかな流れと、注意点を解説します。
栽培の流れを知ることで、マンゴーを口にしたときの美味しさと魅力がより一層深まるでしょう。
マンゴーの特徴一覧
私たちがよく目にするマンゴーのほとんどは、アーウィンという品種のアップルマンゴーです。日本で生産されるマンゴーの90%以上を占めています。
その特徴を以下のとおり一覧にまとめました。
アーウィン種(アップルマンゴー)の特徴 | |
原産地 | インド、東南アジア |
日本のおもな産地 | 沖縄県 宮崎県 鹿児島県 |
収穫時期 | 5月〜10月 |
開花時期 | 2月〜3月 |
耐寒温度 | 5℃ |
生育適温 | 20〜30℃ |
木の種類・高さ | 常緑高木 高さ:10~20m以上 |
果実の外観 | 熟すと皮が赤くなる |
果実の重さ | 約400g |
味と食感 | 柔らかい香りと酸味 濃厚な甘さねっとりとした食感 |
マンゴーの栽培の流れ
マンゴー栽培の流れは以下の通りです。
夏に収穫後、すぐに剪定が始まるので以下のように1年中稼働しています。
- 【7月〜9月ごろ】剪定(せんてい)
- 【10月〜12月ごろ】誘引(ゆういん)
- 【1月~3月ごろ】花吊り(はなつり)・授粉(じゅふん)
- 【4月~5月ごろ】摘果(てきか)
- 【5月~7月ごろ】玉吊り(たまつり)・袋がけ・収穫
それぞれの工程をおこなうタイミングや時期は地域や農園によっても異なるため、あくまでも目安としてご参照ください。
【7月〜9月ごろ】剪定(せんてい)
マンゴーの果実を収穫したあとに、剪定をおこないます。
剪定は十分な日光と栄養がまんべんなく届くよう、余分な枝をカットする作業です。
枝が伸びすぎると木の全体に日が当たらず、結果、実にも栄養が行き渡らなくなります。
剪定は良質なマンゴーを栽培するうえで、最初におこなう重要な工程です。
【10月〜12月ごろ】誘引(ゆういん):木を下げて固定
誘引とは、木を紐状のもので下げて固定する作業です。
マンゴーの木は新芽の成長にともない上に伸びていきます。
その際、誘引で木の成長点を下げると花が咲きやすくなるのです。
また、すべての枝に日が当たるようにするためでもあります。
マンゴーは誘引をしなければ十分な収穫が望めません。
誘引をする際は、木を折らないよう十分な注意が必要です。
【1月~3月ごろ】花吊り(はなつり)・授粉(じゅふん)
花吊りとは、花を周辺の枝ごと上から吊り下げる作業です。
マンゴーの花房は大きく花をたくさん咲かせるため、重みで枝が垂れ下がります。
そのままにしておくと花が重なりあい、すべてのつぼみに日光が当たりません。
花の重みで枝が折れてしまうこともあります。
そうなる前に花を周辺の枝ごと上から吊り下げ、太陽光をたくさん浴びさせる工程です。
風通しがよくなるので、害虫や菌の繁殖による病気の発生も防ぎます。
およそ7割ほど開花したら、次におこなうのは授粉です。
マンゴーの花は小さくたくさん咲くので、基本的にはミツバチやハエの力を借りておこないます。
一部の授粉作業は人工でおこなう場合も。
ハウス内にミツバチを入れたり、魚のガラやエビなどを置いてハエを発生させたりします。
【4月~5月ごろ】摘果(てきか):果実の間引き
摘果とは、果実を間引いて適切な数を残す作業です。
マンゴーは一本の枝から果実がたくさんなりすぎると、大きく育ちません。
摘果は、マンゴーが本来の大きさに育つために必要な工程です。
同時に、余分な果実を摘果することで残す果実に十分な栄養が行き渡るようにします。
摘果を怠ると、次の年には一つも実らなくなることもあるそうです。
【5月~7月ごろ】玉吊り(たまつり)・袋がけ・収穫
玉吊りとは、一つ一つの果実がしっかり日に当たるよう、周辺の枝ごと上につり上げる作業です。
実が大きくなると、枝が下垂して太陽に当たらない面が出てきます。
また、果実同士がぶつかり合わないように離す目的もあります。
果実が大きくなり紫がかってきたら、袋がけをします。果実にネットを掛ける作業です。
アーウィン種は完熟すると自然に果実が落下するため、あらかじめネットを掛けて落果を防ぎます。
さらに1ヶ月ほどすると、果実が赤くなりネットにおちます。
この状態が果実が完熟し、食べ頃になる時期です。早いところで3月に収穫がはじまる農園もあります。
マンゴー栽培における注意点
マンゴー栽培を成功させるためには、大きくわけて以下3つの注意点があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 温度管理に注意する
- 害虫対策をする
- 病気の予防をする
温度管理に注意する
マンゴーは熱帯の果物なので、質のよい果実を育てるには高温を保つ必要があります。
生育に適した温度は25~30℃、冬の時期でも最低でも15℃〜20℃必要です。
マンゴーは10℃以下になると株が弱り、5℃以下で寒害が発生するおそれもあります。
一方、温度が高すぎても品質が悪くなることが明らかになっています。
温度が35℃を超えると日焼けが発生し、さらに40〜50℃まで上がると、果実が蒸され品質が落ちるということです。
対策として、こまめにかん水をおこないハウス内の温度を下げましょう。
参照元:
農研機構「加温ハウス栽培マンゴ-4月出荷作型における花芽分化期の温度管理法」
害虫対策をする
マンゴーは、害虫に弱い樹木です。
おもに新芽が出る10月に多く発生します。
日本植物防疫協会によると、マンゴーにつく害虫はハエ目ダニ目アザミウマ目.などの種目にわけて28種もいるということです。
害虫の防除法は、種類によって異なります。
一部の例をあげると、ハダニ類やアザミウマ類には基本的に化学農薬での防除法が有効だとされています。
チャノキイロアザミウマは農薬の効き目が少ないことも報告されているので、薬剤散布後の発生にも注意が必要です。
マンゴーキジラミなどやカイガラムシは防除が難しいので、苗木を持ち込む時点でついていないかどうか確認しましょう。
新しい枝が被害を受けると、果実が実らないこともあります。
果実に被害が及ぶと等級が下がってしまうため、害虫には十分な注意が必要です。
まずはどの害虫かを判断し、それぞれに適した防除法をインターネットなどで調べ採用するとよいでしょう。
病気の予防をする
マンゴーは病気になりやすい果物でもあります。
とくにアーウィンは病気に弱い品種です。
代表的な病気に、炭疽病(たんそびょう)と菌核病(きんかくびょう)があります。
炭疽病とは、果実に黒い斑点のようなものができる病気です。
黒い箇所から腐敗していき、中身が腐って異臭を放ちます。
果実だけでなく葉や花にも繁殖する病気です。
原因は炭疽菌というカビで、とくに梅雨の時期に活性化します。
対策として、雨よけしたり風通しをよくすることが重要です。
剪定した枝や葉を処分することも推奨されています。
ほかには、薬剤を使って予防する方法もあります。
菌核病も炭疽病と同じくカビが原因の病気で、対策法も同じです。
菌核病は、おもに花軸に被害が多いとされています。
最初は褐色の斑点が現れ、範囲が拡大すると白いカビ状になります。
弊社ではストレスをかけずに栽培した良質のマンゴーを販売しています
これまでご紹介した通り、通常マンゴー栽培は誘引や摘果など多くの工程が必要です。
しかし極度な誘引や摘果は、マンゴーの木に多くのストレスをかけてしまいます。
弊社の契約農家さんの栽培方法は、木に与えるストレスを最小限に抑え自然体で育てるのが特徴です。
マンゴーの木が健康な状態を保ち続けた結果、何年も繰り返し元気な果実を実らせています。
ストレスを最小限にして良質のマンゴーを育てる秘訣は、自家製の肥料にあります。農薬や化学肥料は一切使わず、魚の骨と鶏糞を数年かけて発酵させた肥料を使うことで、マンゴー本来の濃厚な甘さと香りを引き出すことに成功しました。
このように、良質なマンゴーは農家のかたが手間ひまかけて栽培した極上のフルーツです。
弊社ではアップルマンゴーのほか、完熟マンゴーも取り扱っております。
枝から自然に落ちるまで熟した完熟マンゴーは、とろけるような甘みが絶品です。
大切なかたへのご贈答や、ご自身へのご褒美にいかがでしょうか。
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